全てのミャンマー人に当てはまるわけではありませんが、その人の性格や考え方というのは、生まれ育った環境にもある程度影響されています。県民性という言葉も、こうした根拠に基づいて生まれました。

以下、ミャンマー人を採用する上で知っておいたほうがよいこと、配慮すべき点などをまとめました。

 

ミャンマー連邦共和国について

人口は、約5,404万人、ミャンマーの人口は、2014年の国勢調査で約5,200万人を記録しており、過去5年間で200万人以上も増加したことになります。ミャンマー労働省の発表では、人口が毎分0.89人増加し、1日1,200人の赤ちゃんが生まれているそうです。

平均年齢は27.9歳で、生産年齢人口が増える「人口ボーナス期」(15~64歳の生産年齢人口が、その他の人口の2倍以上ある状態)が、ミャンマーでは2053年まで続くといわれています。今後20年間は、将来に向けて、若い労働力の供給国になると考えられます。

ミャンマーは、2011年の民政移管を受けて欧米諸国からの経済制裁が解除されたことを契機に、一躍、「アジアのラストフロンティア」として世界から注目される存在になりました。2019年度の経済成長率は、6.6%。日本からの支援により、急速に、インフラの整備がすすんでいます、首都は、2006年よりネピドー。最も大きな都市は、旧首都ヤンゴンです。

宗教は、仏教徒の占める割合は、国民の87.3%となっており、ほとんどが仏教徒です。単に、仏教徒が多いというだけではなく、大半のミャンマー人にとって、仏教は精神的拠り所であります。老若男女問わず、僧侶に対しては深い敬意を持つことこそが、その国民性を表わしています。

 

2018年9月、ミャンマー人介護技能実習生が誕生

2017年11月、外国人技能実習制度の対象職種に介護を追加されてから、約1年後、2018年9月18日、ミャンマー政府より、同国の人材送り出し企業に対し、介護分野の技能実習生を日本に派遣することが許可されました。その年、ミャンマーからの介護分野への技能実習生として、253名が来日しました。

現在、ミャンマーでは、いくつかの人材送り出し企業が、日本を想定した介護や日本語の研修を進め、日本へ介護の実習生を送りだしています。

ミャンマーに限らずですが、介護の技能実習は、他の産業に比較して、日本語能力の要件が厳しいものとなっています(入国時は日本語能力試験 N4 程度が要件ですが、1年後はN3の取得が要件)が、「介護」の分野は、ミャンマー人に、とても人気があり、このことはミャンマー国の特徴と言えます。

2019年4月から始まった介護の特定技能分野についても同様です。2020年2月より、ミャンマー現地での特定技能介護の試験が開始されました。(ミャンマー開催特定技能介護試験の1回目、2回目の合格率は、概ね80%~90%前後)

新型コロナウィルスの影響により入国規制の影響もあり、ミャンマー人介護特定技能外国人は、2020年6月末で、まだ、1名のみですが(介護総数170名のうち)今後の伸びが期待されています。

 

ミャンマー人が、日本で働くことを希望する理由

多くの若いミャンマー人にとって、日本で働くことは憧れと言えます。それは、ミャンマーには、働きたくても、仕事がなく、また、日本で5年~6年働けば、ミャンマーでの生涯年収程度、稼ぐことができると言われています。

ミャンマーは、2011年まで、長らく、軍事政権の支配下におかれ、経済規制の中、鎖国状態であり、国民の9割が農業に従事していました。2020年現在は、民主化により、日本や欧米の支援を受けながら、インフラ整備が整えられている段階ですが、若い労働力が働ける産業はまだ少なく、ヤンゴンのような都会でも、一般労働者の1ヵ月の月収は、10000円程度であり、その額は、日本の20分の1です。

日本の介護職員(勤続1年未満)の月収は、17万~18万円(厚生労働省の「介護人材の確保について」)であるのに対して、ミャンマーでは、工科系大卒者や日本語学科卒業者など、高収入者言われている人でも、20,000円~70,000円、大卒の平均月収は、30000円であり、これは、アセアン諸国でも、最も生活水準が低い国ということになります。

 

ミャンマー人は、熱心な仏教徒が多い

「ミャンマー人は、介護職に向いている」とよく言われます。ミャンマー国民の9割が上座部仏教の敬虔な信者であり、日常的に、お寺を参拝します。パヤーと呼ばれる仏塔が、町のあちこちにあり、一般的なミャンマー人の家族が、日々、ピックニック感覚でお参りに訪れています。仏教の教えを通じて、ミャンマー人は、お年寄りを大切にし、尊敬の念を持って接しています。体の不自由なお年寄りのお世話することで、「徳を積む」ことができるという考え方は、若い人達にも浸透しており、ミャンマーでは、介護の仕事は、「お金を稼ぐ」というよりは、「徳を積む」ための一種の「修行の場」ととらえているとのことです。そのため、「徳を積みながらも、お金を稼ぐことができる」ということで、日本での介護の仕事は、ミャンマー人には、とても人気が高い、憧れの仕事となっています。

また、仏教の精神があるため、争いや喧嘩を極度に嫌う傾向にあります。一般的に、自己主張も強くありません。自分が悪くなくても、折れることがあります。日本人に少し似ていますね。

 

ミャンマー人の高い日本語習得能力

他の国と比較して、ミャンマー人は、日本語学習能力が高いと言えます。ミャンマー語の特徴として、日本語と語順・文法が似ており、ミャンマー人にとって日本語は学習しやすい語学と言えます。その修得スピードは、「恐ろしく早い」です。

また、ミャンマー語の母語280音の発音の中に、日本語の50音と似ている発音があります。そのため、発音も上手にできます。

外国人介護士が定着するか否かのポイントは、日本語能力によるところが大きいですが、こういったところからも、ミャンマー人は優れた介護士になる可能性が大きいと言えるでしょう。

 

 

ミャンマー人の国民性、性格、特徴について

ミャンマー人を証する言葉に、「眠れる人材の宝庫」ともいわれています。ともかく、愚直に、与えられたことには何事にも真面目に取り組むという姿勢があります。仏教徒であることから、遵法意識も強く、目上の相手に従順です。「落としたスマホが戻ってくる国は、日本とミャンマーくらい」と言われていますが、スマホ1台の値段が年収と変わらない国民が多いのに関わらず、戻ってくるというミャンマー国民の民度の高さは敬意に値します。

年功序列を重んじるため、年齢の下の上司につくことに抵抗感を持つ可能性があるので注意が必要です。穏やかな性格、暴力を振うことや感情をあらわにすることもありません。

文化的に、大声で、怒鳴られたり、叱られた経験がないという人も多いため、「叱られる」とプライドを大きく傷つけられることにつながります。注意をする必要があるときは、別室で、よく話し合うというような配慮が必要です。

国民の7割が、農民であるミャンマー人には、日本と似た「村社会」があります。村という集団の中で、平和に生きていくためには、調和を乱さず、相手を立てる「謙虚さ」を持ち、「空気を読む」ことが大切とされています。そういう面は、日本人ととても似ていると言えます。一方、介護の現場においても、指示された内容に疑問があっても、遠慮して質問や意見を言い出せないという場面が多々見られます。日本人職員の方から、気を配って進捗状況を確かめ、疑問点などがないかコミュニケーションを密にしましょう。

 

ミャンマーの大学制度は、成績順に専攻学部を決める仕組みであり、トップクラスの成績者から、医学部に進学を決めていきます。そのため、職業の中で、医者の社会的ステータスが1番高くなっています。それに関連する仕事ということで、看護・介護の仕事を志すミャンマー人は、優秀な人材が非常に多いです。日本で、最新の介護技術を習得し、母国に持ち帰り、ミャンマー社会に役立てたいという志の高い優秀なミャンマー人もいます。

まだ、ベトナムなどに比較して、日本への留学生や技能実習生の歴史は浅いですが、コロナウィルス感染症の影響が落ち着いてくるにつけ、日本の介護業界の新たな戦力となることが大いに期待されます。

 

覚えておきたいミャンマー語

 

おはよう              ミンガラーナネキンバー

こんにちは          ミンガラーネレキンパー

こんばんは          ミンガラーニャネキンバー

おやすみなさい   エイドーメー

さよなら              タタ

ありがとう          チューズーティンバーデー/チューズーバー

どういたしまして             ケーサマシバーブー

元気ですか/調子はどうですか      ネーカウンラー

元気です              ネーカウンデー

元気ではありません          ネーマカウンブー

 


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