在留資格「特定技能1号介護」とは

『在留資格「特定技能」』とは、中小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが、困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れていくための制度です。

2019年~2024年までの5年間で約60,000人の受入を目的とし、それを超えることが見込まれる場合には、法務大臣に対し、受入れの停止の措置を求めるとしています。

対象となる外国人は、技能水準・日本語能力水準を試験等で確認された上で入国します。

介護事業所で最大5年間雇用することができます。5年後は帰国ですが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、永続的に働くことができます

なお、3年目まで 修了した 技能実習生は、「特定技能1号」に必要な試験が免除されます。

 

特定技能1号介護の特長

通算5年の就労が可能

特定技能1号での日本における就労は通算5年となります。

現時点で、特定技能1号介護は、滞在に期限の制限「特定技能2号」の対象となりません。但し、介護福祉士試験に合格し登録すれば、特定技能1号から在留資格「介護」への変更が可能となり、在留資格「介護」は、更新に制限なく、永続的に日本にいることが可能となります。また、3年目まで修了した技能実習生は「特定技能1号」に必要な試験が免除されます。(在留資格を「特定技能1号」に変更した場合、技能実習と特定技能をあわせて、8年間の日本での滞在が可能となります)

 

雇用してすぐに、人員配置基準の職員に含むことが可能

但し、6か月間、受入れ施設におけるケアの安全性を確保するための体制が必要となります。

※人員配置基準とは、介護保険法により定められた介護付き有料老人ホームなどには入居定員に対する必要な職員配置数の基準のこと

例 通所介護の場合 利用者が15人以下の場合は、1人以上の介護職員を配置すること

※ ケア安全性を確保するための体制とは

1. 外国人材と日本人職員が一体となって介護にあたること

2.介護技術習得の機会の提供

3.外国人材に対する日本語習得の機会の提供

また、特定技能介護の外国人は、夜勤は可能です。同一法人内の配置変えの異動も可能です

つまり、夜勤、配置換えに関しては日本人と同様の扱いが可能です。

 

介護福祉士の国家試験の受験義務は任意

特定技能は、介護福祉士の国家試験受験をする義務はありませんが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更することが可能となります。「介護」で更新することで、永住も可能となります。

 

配偶者や子供の帯同は不可

特定技能1号は、家族(配偶者・子供)の帯同は認められていません。

 

本人側の要件(必要な技術及び日本語能力)

外国人 介護職員に求められる介護等の知識・経験等を証明するため、以下のいずれかを満たすことが必要です。

  • 介護の特定技能評価試験に合格
  • 技能実習3年を修了→日本語試験免除
  • 介護福祉士養成施設修了→日本語試験免除
  • EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)→日本語試験免除

 

外国人 介護職員に求められる日本語能力を証明することが必要です。つまり、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力があることを証明することです。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト又は、JPLT日本語能力試験N4以上
  • 介護日本語評価試験に合格

 

※技能実習3年を修了(介護分野の技能実習2号を終了した者 )介護福祉士養成施設を修了した者、又はEPA介護福祉士候補者としての在留期間(4年間)、必要な日本語能力水準を満たしているものは、日本語能力試験は免除となります。

※日本語能力試験はN5からN1までの5段階評価で、N4は下から2番目のレベル。

「基本的な日本語を理解することができる」レベルで、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」レベル

※本人側に国籍の制限はありません。どの国籍の方でも該当します。

特定技能に関する二国間の協力覚書締結国(2020年9月現在)

以下の国と、特定技能に関する二国間協定を結んでいます。二国間協定で本人側の要件が追加されている国もあります。特定技能外国人を受け入れる際には、二国間協定の内容にも注意してください。また、今後、特定技能試験が当該国で実施される予定ですので、特定技能試験合格者も増える見込みです。

フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、

ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ

 

特定技能外国人を受け入れるための会社側の要件

特定技能「介護」分野の受入機関についての主な要件

  • 1号特定技能外国人を受入れる事業所が介護等の業務を行う事業所であること。(訪問介護は特定技能では行うことができません)
  • 1号特定技能外国人の数が、事業所の日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこと。
  • 派遣形態で就労させないこと。
  • 介護分野の協議会に加入すること。協議会とは、外国人雇用するための受入調整機関等です。(当該外国人の生活のサポートをする機関)

 

介護職種での人数枠について

介護分野において、1号特定技能外国人の人数枠は、(法人単位ではなく)事業所単位で、日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこととされています。

例 10人の日本人、5人の技能実習生、永住者1名の常勤職員がいる場合、特定技能外国人は、上限、11人の特定技能外国人を雇うことができます。

日本人等の対象者は下記です。

  • 介護福祉国家試験に合格したEPA介護福祉士(在留資格「特定活動」)
  • 在留資格「介護」により在留する者
  • 在留資格「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」により在留する者

※技能実習生、EPA介護福祉候補生は、日本人等に入りません。

 

特定技能外国人に対する支援について

特定技能外国人を受け入れるためには、下記の支援を行うことが義務付けられています。

受入れ介護施設自体が、当該外国人の支援を行うことも可能ですし、登録支援機関に一部又は全部委託することもできます。

①入国前ガイダンス

外国人と企業との雇用契約の内容、外国人が日本で行える活動内容、その他、外国人が日本に在留するに当たっての注意事項など

②外国人が出入国する空港への送り迎え

③生活に必要な契約の支援

外国人の住居の確保に係る支援、外国人の銀行口座開設、携帯電話を契約に関する支援

④在留中の外国人への情報提供

日本で生活するに当たっての一般的な情報、外国人がする必要がある届出や手続きの説明、外国人からの相談・苦情などの連絡先、外国人が医療を受けられる病院等の情報(外国人が十分理解できる言語で説明)、防災・防犯に必要な知識、急病などの緊急時の対応に必要な知識、労働法違反や入管法違反があった場合の外国人の法的保護に関する情報

⑤生活に必要な日本語の学習をする機会の提供

⑥外国人からの相談・苦情への適切な対応

⑦外国人と日本人との交流の促進を支援すること

⑧非自発的離職時の転職を支援すること

⑨当該外国人とその監督をする立場にある者との定期的な面談、労働法令違反などがあった場合の労働基準監督署などへの通報

 

特定技能外国人(介護)の受け入れの流れ

  1. 雇用する外国人と面接、技能試験と日本語試験をクリアしているか確認。採用決定する
  2. 受け入れ機関が自社で外国人のサポートを行うか登録支援機関に委託するか決定する
  3. 入管に提出するための申請な書類の収集、作成を行う
  4. 「特定技能雇用契約書」「登録支援機関契約書」等各種契約を締結する
  5. 外国人本人の健康診断の受診、事前ガイダンスを3時間程度かけて外国人に対して行う
  6. 入管への在留資格の申請を行う
  7. 在留期間認定申請が許可される
  8. 外国人が海外にいる場合は入国手続き(在外公館でのビザ申請など)→入国する空港等へのお迎え(支援義務あり)
  9. 就業開始。外国人に対して生活オリエンテーション等支援を開始する
  10. 「介護」分野の協議会に加入。※4カ月以内
  11. 四半期ごとの「届出」や「定期の面談」を行う

 

特定技能(介護)の在留資格申請に必要な書類

在留資格申請(特定技能ビザ申請)に必要な書類は「特定技能外国人受入れに関する運用要領」で確認、ダウンロードできます。日本語版と当該外国語版があり、特定技能外国人理解のために、双方の記入が必要です。

行政書士に依頼いただく場合、お客様側で用意いただく書類は黄色マーカーの書類です。

  1. 在留資格認定証明書交付申請書 / 在留資格変更許可申請書
  2. 特定技能外国人の報酬に関する説明書
  3. 特定技能雇用契約書の写し
  4. 雇用条件書の写し
  5. 事前ガイダンスの確認書
  6. 支払費用の同意書及び費用明細書
  7. 徴収費用の説明書
  8. 特定技能外国人の履歴書
  9. 健康診断個人票
  10. 特定技能所属機関概要書
  11. 雇用の経緯に係る説明書
  12. 登記事項証明書
  13. 役員の住民票の写し (本籍あり、マイナンバーなし)
  14. 決算文書の写し(損益計算表及び貸借対照表又は収 支計算書)(直近2年分)
  15. 法人税の確定申告書の控えの写し(直近2年分)
  16. 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
  17. 領収証書の写し(直近1年分)、労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し(領収証書に対応する分)
  18. 雇用契約の成立があっせんする者がある場合、職業紹介事業所に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を印刷したもの
  19. 社会保険料納入状況照会回答票
  20. 税目を源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税とする納税証明書
  21. 税目を法人住民税とする納税証明書(前年度)
  22. 1号特定技能外国人支援計画書
  23. 特定技能外国人受入れに関する誓約書等(介護分野)
  24. 介護保険事業者の指定通知書

 

登録支援機関への委託有無で異なる必要書類

受入れに関する一部業務を登録支援機関と呼ばれる外部団体へ委託することができます。委託するかしないかで必要書類が異なります。

<委託する場合>

・支援委託契約書の写し

<委託しない場合>

・ 支援責任者の就任承諾書及び誓約書

・ 支援責任者の履歴書

・支援担当者の就任承諾書及び誓約書

・支援担当者の履歴書

 

その他 介護分野ルート別必要書類 →特定技能外国人(介護)

介護技能能力 日本語能力
試験ルート 介護技能評価試験の合格証写し 介護日本語評価試験の合格証写し

国際交流基金日本語基礎テスト合格証写し又はN4以上

養成施設ルート 介護福祉士養成施設の卒業証明書の写し 免除
EPAルート 直近の介護福祉士国家試験の結果通知書の写し 免除
技能実習2号ルート 介護技能実習試験(専門級)の実技試験合格証の写し

合格していない場合は、技能実習生に関する評価調書

免除

 

 


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