スリランカってどんな国?

スリランカはインドの下にあり、「インドの涙、真珠」とも言われている、北海道の約0.8倍の南アジアの美しい島国です。首都は、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテですが、最大の都市は、コロンボです。民族は、シンハラ人(74.9%)、タミル人(15.3%)、スリランカ・ムーア人(9.3%)となっており、それぞれ、公用語は、シンハラ語、タミル語となっていますが、連結語として、英語となります。

宗教は、仏教徒(70.1%、主に)、ヒンドゥ教徒(12.6%)、イスラム教徒(9.7%)、キリスト教徒(7.6%)の割合となります。

スリランカの人口は、 2,132万人(2019年度)、平均年齢30歳ですが、高齢化社会へ移行段階と言われています。

1975年にイギリスから独立後、2009年まで、内紛状態が続きましたが、近年、中国の巨額投資を受けて、南アジア有数の経済成長を遂げてきました。1人当たりの名目4,068USD(2019年度)で、これは、インドの約2倍の数字であります。一方で、地方と都市の間で顕著な格差が広がっています。世界遺産を8つ有しており、近年、観光国として注目されましたが、2019年4月に起きた連続爆破テロの影響、そして現在は新型コロナウイルス感染症の影響で観光業は大きな打撃を受けています。

出稼ぎ大国スリランカ

スリランカは、独立後、1980年代より、主に、中東に向けて、海外へ労働者が赴く出稼ぎ大国でした。当時、スリランカ人出稼ぎ労働者の9割は中東湾岸諸国へ向かっており、主に女性の家事支援労働者が大半でしたが、悪徳ブローカーもいて、その労働条件などが社会問題になっていました。徐々に渡航先に多様性がみられるようになり、ヨーロッパや中国、韓国、日本などのアジアの国に目が向けられるようになりました。

日本においても、2018年2月、技能実習制度が開始されました。2019年度、法務省の在留外国人統計によると、在日スリランカ人は、27,367人であり、留学生が、約3割の7408人と、割合的には一番多く、団体管理型の技能実習1号~3号を合計が、728人(2.6%)でした。介護福祉養成施設への外国人留学生ついては、2018年度、47人のスリランカ人留学生が入学しています。(入学留学生総数 1142人中)2019年度在留外国人でも、「介護」の在留資格を取得したスリランカ人は、6名です。

スリランカには、後述するように、日本と類似したシステムを持つ介護施設が存在しており、スリランカ人にとって、「介護」という職業は非常になじみ深いものであるため、今後、日本における外国人介護士として増加していくことが予想できます。

 

社会福祉制度が整っている国スリランカ

スリランカは、社会福祉制度が整備された国として知られています。公的な医療の無償化、小学校から大学までの無償教育など、政府は、経済成長よりも社会福祉政策に力を入れてきました。

スリランカ国内には、日本と同様に、高齢者向けの様々な介護サービスが、国家によって、整備され、デイセンター,在宅,高齢者施設などが展開されています。これは、日本に、多数の介護士を送り込んでくる他のベトナム、ミャンマーなどアジアの国々が、「介護は家族の役割が中心」というのは大きく異なっております。

スリランカにおける、政府所轄の高齢者施設は,国の施設だけでなく宗教団体や民間団体なども含まれており,いずれの施設も(入居者 5 人以上で)「高齢者擁護の法律」に基づき「国家高齢者事務局」に登録することが義務付けられています。介護士(caregiver)などの介護を専門とする有資格者やボランティアらが介護に関わっていますが、こうした介護の資格も、「高齢者擁護の法律」のもと整備されており、国家が実施する3カ月間の資格取得研修を義務づけ、国職業技能レベルの国家認定制度(NationalVocational Qualification, NVQ)レベルⅡと呼ばれる認定制度があります。

スリランカから、日本での介護士を目指す留学生は、日本での介護施設での仕事に、収入面という面に、大きな魅力を感じているのは勿論ではありますが、(スリランカ人の一般的な仕事の平均月収は、3万5千円)介護という職業に精通しており、自分のキャリアの中でのスキルアップと考える優秀な留学生が沢山います。

こうした背景から、技能実習生(介護)や特定技能(介護)分野においても、今後、スリランカ人介護士の増加は予想されます。

 

穏やかで集団主義を重視

スリランカ人は、国民の7割が、仏教徒(上座部仏教、ミャンマー、タイなど同系統)であり、仏教の教えを強く受け、信仰に厚く、礼儀正しく、善良で、親切な性格の人が多いと言われています。

イギリスの植民地であったことや歴史上の地理的位置関係から、欧米型の個人主義の影響も多少は受けていますが、仏教徒であるがゆえに、集団主義的なところが強く、「和を尊ぶ」集団主義を重視するところは、日本人と似ているところがあると言われています。

また、全小学校では、宗教の授業が義務付けられていますが、特定の宗教を学ぶというのではなく、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教と各民族の宗教をそれぞれが学ぶことができます。このように、子供の頃から、宗教、民族の多様性を認める教育がなされています。

スリランカ人の集団的行動の理念は 「我が社会(アペーガマ)」と呼ばれています。

これは、スリランカの日常生活において、内(アペー)と外(ピタ)を分け、内(アペー)において、自分とその家族を中心とした、親戚、友人、知人と広がる人間関係において、絆が強く、お互い助け合いながら生きていくことを言います。ゆえに、日本で働くスリランカ人の多くも、常に母国の家族のことを思い、家族の生活が少しでもよりよいものとするため、お金を稼ごうとしています。

 

プライドは高め

スリランカ人は、とてもプライドが高く、体裁を気にする国民と言われています。

そのため、頼まれた仕事に、自信がなくても、「できない」という返答することが難しい気質のようです。また、プライドの高さゆえに、見栄っ張りなところがあり、自分をよく見せようとするあまり、結果的に、「ウソ」をついてしまうこともあります。

何か、仕事を教えるときは、「できますか?」と質問するのではなく、「やってみますか?」という聞き方の工夫をして、実際、一緒にやってみる、できることを確認しながら次に進むなどの配慮が必要されます。

また、注意されたり、できなかったことを叱られたりすると、自分の非を認めることができないため、長々と詳細の言い訳をする傾向があります。これは、「謝る」という習慣になれてないだけであり、悪気がある訳ではありません。

スリランカ人は、もともと、後進国の中では、男女とも識力95%以上と、他の国の中でも、驚異的な数字を持ち、教育制度も整っており、教養もあり、頭の良い人が多いです。年長者の人に対しても、尊敬の念を持ち、お年寄りを大切にする国民です。

そういった特性を理解しながら、お互いに話し合いながら、業務を進めていくことが効果的と思われます。

また、民族や宗教が異なる国の共通言語として、スリランカ人は、英語を理解できる人が多いです。日本人の職員とのコミュニケーションの手段の1つとして役に立つだけでなく、お年寄りの認知症対策のために、英会話は、効果的と言われています。

 

時間に対する感覚が異なる

スリランカ人は、時間に対する感覚が日本人と異なります。日本のように、スケジュールに沿って、「8時に朝食」「9時に就寝」という概念はありません。

日本の介護施設では、すべての利用者様に平等に迅速なサービスを与えるためには、ある程度の時間の管理は必要となりますので、日本で生活していくルールとして、日本の習慣として、ひとつひとつ話し合いながら、覚えていってもらう必要があります。

 

介護施設のお年寄りに対して、日本人職員が陥りがちな「効率を重んじて、システマティック・機械的に接する」ことが良い面ばかりでないことを反省して、スリランカ人介護士のおおらかで、対面に基づいた、人間らしい接し方という良い面を見習うことも大切と思います。

 

スリランカ人との雑談に役立つ現地の単語

シンハラ語

アーユボーワン(こんにちは、さよなら、おはよう、こんばんは)

イストゥーティ(ありがとう)

オウ(はい)

ナァハァ(いいえ)

 

タミル語

カーライ ワナッカム(おはよう)

ポーイ ワレン(さようなら)

ワナッカム(こんにちは)

マーライ ワナッカム(こんばんわ)

ミッカ ナンドリ(ありがとう)

アーマム(はい)

イッライ(いいえ)

 


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